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群馬大病院は氷山の一角 頻発する医療事故の真相 医療の安全をどう守るか

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医療事故を受けて会見で頭を下げた群馬大学の平塚浩士学長(左)ら(2016年8月)(時事)

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群馬大学医学部附属病院(以下、群大病院)で、同一医師による肝胆膵手術を受けた患者が相次いで死亡していた問題で、この8月10日に病院側と和解が成立したと遺族会が公表した。

この問題は、2010~14年の間に腹腔鏡手術を受けた患者のうち8人が相次いで死亡していたことを、14年11月に読売新聞がスクープして発覚。その後、開腹手術でも死亡例のあることがわかり、日本外科学会の調査対象となった死亡例50例のうち30例が同一医師の執刀によるものと判明した。

執刀医の未熟な技術と院内ライバルとの確執

外科医なら誰もが術後に患者が死亡する事例を経験する。だが、一人の外科医がわずか数年の間に、30人もの患者を失うことはまずない。なぜ、こんな重大な事態が発生したのか。

病院が依頼した有識者による医療事故調査委員会が指摘したのは、第一に、執刀医が未熟であるのに高度な技術を要する手術に挑んだことだ。肝胆膵手術は消化器外科の中でも高難度の手術とされている。にもかかわらず執刀医は、開腹でも難しい症例に、より高度な技術が求められる腹腔鏡手術で挑んでいた。

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