米国防総省が発表した「中国の軍事力に関する年次報告書」に対して、敏感に反応した習近平政権。そこには不満が渦巻く中国国内の政治状況と、人民解放軍の暴発リスクが透ける。
8月17日、中国国防部は、米国防総省が発表した「中国の軍事力に関する年次報告書」について、「中国の戦略意図を曲解し、軍事的脅威を騒ぎ立てている」と批判する談話を発表した。
年次報告書は、「中国は地域および国際社会におけるプレゼンスを高めようとしており、軍備増強を図っている」と指摘している。これに対し、中国国防部は「中国軍の近代化加速は、自国の主権や安全保障、開発権益のほか、世界の平和と安定、繁栄を守る目的がある」と強調し、「中国軍の改革、兵器開発、サイバー防衛力は妥当なものだ」と反論している。
中国は、自らの軍備増強自体は認めているものの、その目的は防御的なものだ、と言うのである。中国は「対外的な経済活動は軍事力の保護を必要とする」と公言してきた。これは、世界各地に軍事プレゼンスを示して自国の影響力を維持・拡大し、併せて経済活動を軍事的にも支援することが、中国の意図であることを示唆している。
中国の論理では、自らが米国やその同盟国を攻撃するのではなく、米国の妨害を排除するということになる。だからこそ、「中国軍が米国や米国の同盟国に対する攻撃の訓練を行っている可能性が高い」とした表現に敏感に反応するのだ。
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