一昔前であれば、家族が自宅で親を看取りながら医師が「ご臨終です」と言う、映画のワンシーンのような場面が、一般の家庭でも見られた。
しかし現代の日本で人が亡くなる場所は、8割弱を病院・診療所が占める。対照的に自宅で亡くなる在宅死は13%にすぎず、介護施設(老人ホームや介護老人保健施設)での死亡は1割に満たない。このままでは、団塊の世代が75歳以上となる2025年以降、病床が足りなくなることが懸念される。
そこで厚生労働省は、高齢者が可能なかぎり住み慣れた地域で、自分らしく暮らしながら最期を迎えることができるよう、高齢者の療養・介護を支援する「地域包括ケアシステム」の構築を掲げている。これは高齢者の医療や介護、それらを支える行政の仕組みを、30分以内で駆け付けられる日常生活圏にそろえるという体制で、中学校の学区を目安に整備することを目指すものだ。
厚労省は25年をメドに地域包括ケアシステムを全国で構築し、病院から自宅や老人ホームなどの介護施設へという移行を促す。
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