Interview|特別養護老人ホーム・上北沢ホーム医師 石飛幸三
7月11日の昼下がり、都内の区民館の一室は講演を聴きに来た70人近くの高齢者で満員だった。講演者は石飛幸三医師で、テーマは「住み慣れた地域で平穏な最期を迎えるために」。
2010年に『「平穏死」のすすめ 口から食べられなくなったらどうしますか』を上梓して以来、石飛氏は全国各地で講演を行ってきた。冒頭、「いろんな考え方があります。私の話に文句をつけてくれても構いません。本音の話をしましょう。ひとごとじゃないんだから」と語りかけた。平穏死を説き続けてきた石飛氏に、現状への見方を聞いた。
──親の最期が迫ると、医師に「何でもしてやってください」と言う家族は少なくないようです。
結核で死んでしまうような時代もあったが、今では(医療の進歩で)みんな長生きするようになった。そして何かあったら「死んだら大変だ!」と言って救急車を呼ぶ。病院に運び込めば医師が助けてくれるような錯覚に陥っている。でも、人はいずれ逝く。はっきりそれを自覚したほうがいい。
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