収益物件の供給過剰、人口減による空室の急増。そうした事態は何をもたらすか。3人の専門家に聞いた。(聞き手・本誌:許斐健太)
神奈川は勝敗が鮮明化 今後の注目は大学移転
藤井和之・タス 新事業開発部長
首都圏の賃貸住宅はすでに供給過剰だ。わが社が出している空室率の指標(空室率TVI)で見ると、2015年の相続税改正を機に東京都以外の空室率が上がり、16年以降のマイナス金利下で東京都も上がった。ただ銀行が融資を渋り始めた昨年以降、東京市部以外の空室率上昇が鈍化している。
物件供給の経緯を振り返ると、1995年くらいを境に首都圏全体で単身世帯向け物件が増えていった。その中で08年のミニバブル崩壊以降、極小ワンルームが急増したのが神奈川県だ。今や賃貸物件の検索サイトでは単身世帯向け物件が300件以上ヒットする駅もある。もちろん駅近など好条件の物件は競争力があるが、問題は立地や築年数など条件が悪いところ。そうした物件は検索にも引っ掛からず、空室が増加している可能性がある。神奈川県では勝敗が鮮明化している。
投資対象が1棟アパートであれば、マンションとの戦いも避けられない。同条件ならマンションはアパートより賃料が1割ほど高い。築10年ほどのマンションと新築アパートは賃料の条件が近い。ただマンションのほうが駅近の好立地が多く、アパートは不利な戦いを強いられる。特に神奈川県はアパートとマンションとの差が鮮明だ。
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