東京疲労・睡眠クリニック院長 梶本修身氏に聞く 『隠れ疲労』を書いた

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歳末前の繁忙期、ちゃんと寝たのに朝からグッタリ。そんな読者も多いだろう。しかし本当に怖いのは「隠れ疲労」だ。

隠れ疲労 休んでも取れないグッタリ感の正体 (朝日新書)
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自信のある人ほど危険 疲労感なき疲労の恐怖

──まず、隠れ疲労とは。

疲れがたまっているのにそれを認識できない、疲労感なき疲労です。その先に潜む最悪のケースが過労死や突然死です。

皆さん運動とか体を使ったときの疲れは自覚しやすいけど、たとえばデスクワークしているだけだと疲れたという感覚を持たないことが多い。大きなプロジェクトを成し遂げたとか、成果を出して昇級したとかで意欲や達成感が高まり、興奮状態、幸福感や高揚感に包まれていると、脳は体からの警告を無視して疲れを疲労感に変換しないことがある。前頭葉が容易に疲労感を消してしまうんですね。

──「疲労感のマスキング」と呼ばれる、隠れ疲労の正体ですね。

脳の眼窩(がんか)前頭野という部分が送って来た疲労データが前頭葉に届く際、快感物質や興奮物質が分泌されているとそれらの警告をかき消してしまう。自分の健康に自信を持っていて、かつ仕事が好きでバリバリこなすタイプの人ほど危険ですね。老化が最も激しいのが自律神経。自律神経の働きを示す「パワー値」(体力)は、10代を100とすると60代は25まで落ちます。30代ガムシャラにやって成功体験を持つ人が、50代、60代で同じつもりでいたらいずれ破綻し、過労死や突然死の危険が生じる。

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