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変貌を遂げた街の景色 薬局乱立地帯を歩く »»Part1|薬局利権の深層

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国が推し進める医薬分業を追い風に、薬局市場は急速に拡大した。薬局数はコンビニを超える5.8万店まで膨らんだが、不正発覚や報酬引き下げなど逆風のただ中にある。

都立墨東病院前に立ち並ぶ門前薬局。正門真正面の薬局が人気だ(撮影:今井康一)

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病院至近の立地奪い合い

「何でこの薬局を選んだのかって? そりゃ、いちばん近かったからパッと入っただけだよ。それ以外の理由は特にないねえ」

そう話す70代の男性が通う東京都立墨東病院は、墨田、江東、江戸川3区で唯一の救命救急センターを備える、東京都東部地区の中核病院だ。外来患者は1日平均約1400人。病院の外来出入り口から緩いスロープを30mほど歩くと、細い道を挟んだ向かいに6店の薬局が目に入る。

「処方せん受付」「保険薬局」……、掲げている内容はどこも同じで、目につく違いは看板の色ぐらいだ。男性は横断歩道を渡ってすぐの、病院正門から最も近い薬局に入ったが、ひとえに「近さ」がここを選んだ理由だという。

正門真正面の2店の薬局は、5~15人ぐらいの患者で待合室は満席が続いていた。他方で、少し奥まった立地だと、まばらな客入りの薬局もあった。

同じ薬局から出てきた70代の女性は病院への不満を募らせていた。「もう何年も通っているが、いつも処方箋をもらって薬局に行って、また会計で病院に戻るなど、行ったり来たりの繰り返しで疲れる。なぜ病院で全部済ませてくれないのかと、ずっと思っている」。

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