大学卒業時、一片の卒業証書のみで人生の荒波に乗り出したリケジョ(理系女子)の筆者から見れば、ヤクジョ(薬学系女子)のキャリアは堅実だ。国家試験に受かれば一生ものの“お免状”(薬剤師免許)が手に入るのだから。
働く女性のガラスの天井は厳然と存在しているが、こと薬剤師に関してはそうでない(ように見える)。このため、女性が自立できる資格を得られる薬学部の女性比率は、6割超となっている。
今でこそ、病棟を回る臨床薬剤師や調剤薬局での服薬指導など患者に接する時間が増えたが、医療職として看護師ほどハードでないことも好まれてきた。医学部や歯学部では学力的にも経済的にも手が届かないから、とヤクジョになった人も少なからずいる。
2006年からは薬剤師を目指す課程が6年制になった。学費負担も増える形だが薬学部人気は根強く、18年4月にも1校(定員計120人)が参入予定である。
日本大学薬学部の亀井美和子教授は、最近のヤクジョの質の変化を次のように話す。「一番の変化は、かつての『化学が好きだから』『新薬が作りたい』という学生が減って、代わりに『人の手助けがしたい』『人とかかわりたい』という学生が増えたこと」。
6年制薬学部出身者の6割以上が、対面販売の小売業である調剤薬局に就職するのだから、これはさもありなん。
やや敬遠されがちだったのは病院だ。病院の薬剤部は大抵が地下にあって、黙黙と処方箋をこなしているイメージが強い。かつて病院勤務をしていたあるヤクジョは「若手は毎日が単なる調剤マシン」「狭い部屋・少人数で同じ作業の繰り返しに疲れた」と振り返る。薬局チェーンや製薬会社に比べ給与は低いが、今は二番人気だ。
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