薬局の世界でも機械化、情報化はすごい勢いで進んでいる。
自動で薬剤をピッキングする機械や、薬歴の書き方を提案するAI(人工知能)も登場している。
手で薬剤を包み、薬歴を書いておカネになっていた仕事が、今後は機械に打ち込めば済むかもしれない。そうなると、薬剤師の役割とはいったい何なのか。誰にでもできる仕事になるのではないかと、存在意義が問われ始めているのは確かだ。
人口減少で競争が厳しくなっていけば、ガソリンスタンドのように個人薬局は淘汰され、機械化の投資ができる大資本のチェーン薬局だけが生き残ると予想する人もいる。
でも、私はそうは思わない。単純にモノを渡すだけが薬剤師の仕事であるならば、ガソリンスタンド業界のような淘汰は起こりうるだろう。しかし薬剤師の本来の職能は、そういうところにあるわけではない。にもかかわらず、今日の薬剤師は、あるべき姿からははるかに遠い仕事に従事し続けてきた。
十数年前、親の調剤薬局を私が継いだとき、これは儲かると思った。病院の前に店を出して待っていれば、“金券(処方箋)”を持った客が入ってくる。それを効率よくさばくだけ。仕事もさぞかし専門性が高いのかと思いきや、薬の説明は患者さんの前で、マニュアルを読めばいい。それで当時は処方箋1枚で平均すると売り上げ8000円、粗利益3000円が懐に入ってくる。相手は国だから、2カ月後に必ず振り込まれ、与信管理も必要がない。
これを10店舗でやったら20億円じゃないか! これはすごい、と私もこの金儲けに夢中になりかけた。
でも、あるときふと冷静になって、考えた。今やっている仕事は本当に価値のあることなのか、薬剤師にとっても、患者さんにとっても、意味がないのではないか。
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