北洋建設社長 小澤輝真 「前科があっても逆転可能」
札幌に元受刑者を積極的に雇う企業がある。「人はきっかけ次第で変わりうる」。難病の身を押して、出所者の社会復帰に奔走する日々だ。
一昨年の晩秋、北関東の刑務所で、南部進一(仮名・51)は出所が近づくにつれて恐怖を募らせていた。「殺人未遂犯」の烙印を押され、社会から排除されるのではないかと不安になり、体の震えが止まらなかった。
だが、北洋建設(札幌市)の社長、小澤輝真(おざわ・てるまさ 現在、42)の「うちで働かないか」の一言で吹っ切れた。小澤は就職面接のために、車いすで刑務所を訪れてくれた。
出所した南部が振り返る。
「両親は亡くなり、きょうだいとは会えません。塀の外に出ても帰る先はなかった。でも、『仕事と寮があって一日3食ついている。心配いらないよ』と、社長は温かく受け止めてくれました」
量刑6年のところを5年余りで仮釈放となり、その足で札幌に向かい北洋建設に入社した。1年余りが過ぎ、肩から胸、背中にかけて建設作業員らしい筋肉がついた。
小澤が経営する北洋建設は、建物の仮設工事や基礎コンクリートの打ち込み、解体などを請け負う企業だ。よく見掛ける土建業のようだが、どこにもない特色がある。従業員約60人のうち、十数人が元受刑者なのだ。先代の父が創業して以来、40年余りで約500人の出所者を受け入れ、社会復帰を支援してきた。希有(けう)な会社である。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら