中国や日本を為替操作国と批判するトランプ米大統領。背景にあるのは貿易赤字だが、足元ではむしろ中国の元買い介入の姿勢が強まっている。
トランプ米大統領の誕生以降、アジア経済には不透明感が高まっている。株価の上昇など米国経済の好況感が高まっているのは好材料だが、対外貿易赤字の矛先を中国や日本に向けるなど、繰り返される大統領の保護主義的な言動は明らかに不安材料だ。特に懸念されるのは、中国や日本に対し、為替を不当に操作しているとして非難する姿勢をちらつかせていることである。
皮肉なことに、現在市場で元売り圧力が高まっている要因はトランプ大統領自身にある。昨年11月に米大統領選挙でトランプ氏が勝利して以降、財政拡張策への期待とFRB(米国連邦準備制度理事会)の利上げ観測の高まりで、主要国の通貨は米ドルに対して軒並み下落した。この動きを受けて、中国人民銀行(中央銀行)は元を買いドルを売る市場介入の姿勢を強めた。米国の金利上昇を予想してドルが買われ、人民元相場が急速に下落することを防ぐためと考えられる。
その結果、2017年1月末における中国の外貨準備高は2兆9982億ドルと、5年11カ月ぶりに3兆ドルを割った。同時に、政府は資本の対外取引を制限するよう窓口規制を強めており、外国企業の中国現地法人が本社に外貨を送金する「子親ローン」などについて制約が強められる決定がなされている。
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