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規制緩和による住宅建設ラッシュの弊害 埼玉県川越市、従来の住民と新住民の軋轢も

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古い蔵造りの街並みが残ることから「小江戸」と称される埼玉県川越市。JR川越線、東武東上線、西武新宿線の3路線が通る利便性から、都心部のベッドタウンとしての顔も持つ。東武東上線で池袋駅まで約30分だ。

この川越市で近年、規制緩和による市街化調整区域(以下、調整区域)の宅地開発ラッシュが起き、多くの農地が住宅に変貌した。

調整区域は本来、開発を抑制するエリアだ。しかし、2000年の都市計画法改正で、一定の条件を満たせば建築物を建てられるようになった。川越市も06年5月に「開発許可等の基準に関する条例」を施行し、規制緩和に踏み切った。

[図表1]
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(注)棒グラフの左側は規制緩和に基づく当初想定の新規開発面積(市試算)、右側は開発許可面積 (出所)川越市「立地適正化計画」(原案)や同市議会議事録などを基に本誌作成

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規制緩和に基づく開発許可面積が川越市内で最大だったのは、名細(なぐわし)地区。東武東上線の霞ヶ関、鶴ヶ島両駅周辺に位置する。両駅から東へ進むと、農地に入り交じって、大きいものでは10戸以上が一つにまとまった戸建て住宅の区画に、幾度となく出くわす。

農地に戸建て住宅群が浮かんでいるよう(名細地区)

こうした戸建て住宅は区画面積が200平方メートル以上と広く、2台分の駐車場を備えたものが多い。市街化区域より地価が低いという利点もあり、駅からは遠いが「広くて安い」住宅が大量に供給された。多くの物件は、自動車移動の生活を前提とする30~40代の子育て世代を中心に購入が進んだ。

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