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単身社会ニッポンの消費はこう変わる 「家族向け商品」はどんづまり

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単独世帯の増加はしょうゆやマヨネーズなどの定番調味料にとっては逆風だ。一人暮らしばかりでは、調味料の消費には限界がある。

加工食品でも事情は同じ。多くのブランドは「団塊世代とともに、ファミリー市場で伸びてきた」(ハウス食品・調味食品部の藤井豊明部長)。それだけに、標準世帯数の減少は市場の減少に直結する。ハウスでは2004年から「個食即食」を強化。容器にお湯を注ぐだけの「カップシチュー」や、1皿分ずつ包装されたカレールウ「プライム」などを発売した。どちらも大鍋で煮込む料理をあえて一人前にしたものだ。

今春には手作りデザート「フルーチェ」にレディメイドの個食タイプを投入した。“家族で作って楽しい”をコンセプトに、長らく1箱4人前で売っていたフルーチェは、1990年代をピークに停滞していた。新製品の購入者は想定以上に30歳代が多いと判明、かつてのユーザーの回帰に手応えを感じている。

横浜市都筑区のあざみ野東急ストアでは、小分けしたお菓子を集めた「食べきりサイズコーナー」が人気

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鮮魚など生鮮食品でも、一人用のサイズに小分けして売ることが定着してきた。単身者向けに総菜の強化にも知恵を絞る

一方、冷凍食品で高齢者の利用が増えているのも「単身社会化」の一側面だ。99年に発売した「ひじきの煮物」「きんぴら」といった和風総菜が大ヒット。朝食や夕食の「もう1品欲しい」という需要の深耕に成功した。高齢者の単独世帯では、包丁や火を使わずに済み、買いだめできる冷食は強い味方。「冷食市場全体で、50代以上の購買者が毎年50%増超で伸びている」(日本水産・家庭用食品部の新藤哲也部長)。

自動車メーカーは単身社会化の波に乗れず

単身社会化の流れに苦戦しているのが自動車業界だ。目下、新車販売(登録車)は22カ月連続のマイナスが続くが、若いシングル世代のクルマ離れがその一因だ。

業界には苦い記憶がある。80年代後半、核家族化を受けて各社は「今後の潮流はパーソナルユース。2ドアや2シーターのクーペが“売れる”」と読んだ。その当時、米国はクルマの1人1台化が進み、特にクーペが大流行。なかでも経済的に余裕のある独身女性がクーペに乗るのが一般化し、「セクレタリーカー」と呼ばれていた。

そこで、日本車メーカーもクーペを造りまくった。トヨタはセリカ、スープラ、セラ。若者向けが得意なホンダに至ってはCR‐X、プレリュード、インテグラ、レジェンドクーペ……とほぼ全車種にクーペを用意したほどだ。

が、実際に90年代の主力となったのは、クーペと程遠いミニバン。「核家族化とはいえ親の世帯(実家)とはクルマで1時間半程度の距離が大半。1人でも家族4人でも乗れる便利さが受けた」(ホンダ関係者)。

標準世帯の数が減る現在、ミニバンは頭打ちだ。米国では50歳以上で子供が独立した2人世帯「エンプティ・ネスター(空の巣)」に向けて、フォード・ムスタングなど60年代のアメリカン・マッスルカーのリバイバルが流行中。若いころあこがれたクルマに、余裕ができた今こそ乗るという心理だ。

日本でも団塊世代にオープンカーの新車販売が好調で、トヨタレクサス、ベンツなど高級車のメタルトップ(可動式屋根)が人気だ。ただ、若い世代の単独世帯は攻略できていない。特にワーキングプア層には、クルマは価格が高すぎる。

ここ数年、ビッグスクーターがヒットしたのも、維持費を含めた価格が4輪より安いのが最大の理由。「『安くて、人と違って、センスがいいもの』はクルマでは難しい」と各社は頭を抱える。

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