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変わりゆく山谷から10年後の日本が見える 山谷からSANYAへ 三畳一間、究極の単身生活

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ドヤの街・山谷が変貌している。日雇い労働者の高齢化が進み、生活保護者が増える一方、安宿を求めて若者たちや外国人が流入中。ワーキングプアが急増する日本の未来と地続きの山谷の実態とは?
写真・文:佐藤 類(フォトライター)、連結社

ドヤ「えびすや」の廊下。三畳一間の個室のほかに、カプセルホテルの原型となった二段ベッドが並んだ団体部屋もある。9割が長期滞在者で埋まる

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今の山谷の姿は10年後の日本です

高度成長期に横浜の寿町、大阪の釜ヶ崎と並び、「日本3大ドヤ街」として知られた山谷は、東京都台東区と荒川区にまたがる。

1980年代までは、映画『山谷―やられたらやりかえせ』などで、“日雇い労働者の街”というイメージが色濃かったが、その後は建築・土木業の需要が急減。労働者の高齢化も進み、“福祉の街”に変わった。

台東区福祉事務所保護課の相良清係長によれば、山谷地区で生活保護を受ける単身者はバブルがはじけて以降増加し、現在は2200名に上る。そのうちの70%を65歳以上が占め、民間のヘルパーがドヤに入り、介護サービスを行っているという。

高齢の生活保護受給者

山谷を東西に突き抜ける「いろは商店街」は、ほぼシャッター通りの状態だ。古くから商店を営む主は、「昔は朝晩問わずに取っ組み合いのケンカがあり、罵声が飛び交った」と言うが、今は日暮れとともに高齢者ホームレスの静寂な寝床と化す。

最寄の南千住駅は、2005年につくばエクスプレスが開通し、隅田川方面には高層マンションが林立。もとより地下鉄の日比谷線、JR常磐線と都心アクセスは利便だったが、最近は出張サラリーマンや地方からの就職活動生の姿も目立つ。

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