多くの飼い主はペットを子ども同然と考えているが、人間の子どもとの最大の違いは、親すなわち飼い主よりも先に老いて死ぬのが普通だという悲しい現実だ。だからこそ、生命やQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の危機に直面したときにどのような選択肢があるのか、平時から知っておく必要がある。
小動物医療は近年、急速に高度化が進んでいる。この進展にすべての獣医がキャッチアップできているとは限らない。「これしか方法はない」という獣医の言葉を盲信しないためにも、高度医療の最前線をのぞいておこう。
外科手術で根治可能小型犬の慢性心不全
心臓病は犬・猫とも死因の上位を占める。特に高齢の小型犬に多いのが僧帽弁閉鎖不全症で、心臓病の8割がこれだ。進行すると肺水腫(肺に水がたまる症状)によって呼吸困難になり、横にもなれずあえぐ姿は見るに堪えない。最後は心不全で絶命する。
動物医学書の多くは、この疾病は「基本的に治らない」と解説している。実際に動物病院でも「投薬で症状を抑え、静かに暮らすしかない」と診断されがちだ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら