過去10年間の業界の変遷を、各社の年収で比較してみるとどうなるのか。独自試算(囲み)で全業種を分析したところ、特徴的なのが、電機、商社、電力の3業界だった。
日立が抜きんでた理由
電機業界は2006年当時、推定年収に大差がない。リーマンショック後の業績悪化で抑制された後、伸びが特に顕著だったのが日立製作所だ。
日立は09年3月期、構造改革などのために製造業として過去最大となる7873億円の赤字を計上。以後もさまざまな施策を講じた中、12年のハードディスクドライブ(HDD)事業売却が競合を驚かせた。02年に米IBMから買収し苦戦続きだったが、ようやく利益が出るようになっていたからだ。
インフラを軸として浮沈の激しいほかの事業分野は縮小するという明確な方針が日立の経営陣にはあった。HDDは利益が出ていたからこそ売却したといえる。業績は着実に改善し、14年3月期は23年ぶりに営業利益が過去最高を更新。年収も同様の動きだ。
対照的なのがシャープ。試算では年齢が上がっても年収が上向かず、40歳の推定年収は日立と200万円近い差がある。シャープは11年度、12年度で計9000億円もの最終赤字を計上。翌年度に黒字化したが、頼みの中小型液晶パネルが失速し、再び大赤字。金融支援を受けて再建に取り組むものの、15年度第3四半期は290億円の営業赤字と、苦境脱出の糸口は見えていない。16年の春闘は、電機メーカーの労働組合で構成される電機連合の統一交渉に4年連続で不参加となる見通しだ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら