日本と中国が競っていたインドネシア高速鉄道建設計画について同国政府がいったん白紙撤回、その直後に中国の受注が決まったのは今年9月のことだ。日本の政府開発援助は国民の税金を相手国に貸し付けるため、審査は厳しく行われる。中国政府はその裏をかいて緩い審査基準と好条件で逆転受注にこぎ着けたものとみられる。
日本国内では新幹線の技術は世界一だと報道されることが多いが、はたしてそうだろうか。敵を知らず己を知らざれば戦うごとに必ず危うし、これまで新幹線をシステムごと輸出した例はない。唯一の例として紹介される台湾高速鉄道も日欧のシステムが混在しており、日本製かつ日本の流儀で構築されたシステムで主要なものは車両だけである。
鉄道はいわば土着の交通機関。日本は優秀な要素技術をたくさん持っているが、日本のシステムをそのまま外国に持ち込んで、うまくいくとは限らない。近年、日本の新幹線のシステムを丸ごと輸出しようとする動きがある。それで成功すれば大いにけっこうだが、そのやり方が通用するのは地球上にほんの数カ所しかないだろう。システム一括輸出というやり方は日本の鉄道が進むべき王道ではないと考える。
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