宿願の安全保障関連法を仕上げた安倍晋三首相は10月7日、内閣改造と自民党役員人事を行い、新体制で再出発した。といっても、党4役は全員留任、閣僚も19人のうち財務相、外相、官房長官など政権の骨格を担う10閣僚が続投で、党内の入閣待望組に9ポストを割り振った「小規模改造」となった。
昔から「人事は首相の最大のメッセージ」といわれる。タイミングと人選から時の政権の路線や姿勢、方向性が読み取れるからだ。安倍首相は今回、「就任以来の基本路線に変更なし」「経済最優先に回帰」というメッセージを内外に発信した。
再びアベノミクス重視に、というメッセージは、第一に対決型政治で支持率低落を招いたという危機感が背景にある。第二に本格的な内閣大改造は来年夏の参院選後に先送りという計算が働いたのだろう。
総裁再選後、「一億総活躍社会」を打ち出した安倍首相は、改造もその実現を目指す適材適所の布陣と強調するが、実際は当面の危機を乗り切る弥縫(びほう)的人事という色合いが濃い。だが、改造直後の7~8日に共同通信が行った世論調査では、内閣支持率は9月の38.9%から44.8%まで上昇した。「安保から経済へ」の方向転換は狙いどおり、と首相は胸をなで下ろしているに違いない。
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