参議院選挙も終盤戦に入りつつある。新聞、テレビ各社の情勢調査では、安倍晋三首相が目標に掲げる「自民、公明の与党で改選過半数」は完全に織り込み済みとなっている。
焦点は、自民党が非改選を合わせて27年ぶりの単独過半数を得たうえで、公明党におおさか維新の会などの改憲勢力を加えて憲法改正の発議が可能になる「3分の2」を占有するかに移っている。
10日の投開票日を迎える前にいま一度、われわれ有権者が確認しておかなければならないことがある。それはこの参院選の位置づけの奇妙さである。あるいは安倍首相の仕掛けの巧妙さといってもいい。
安倍首相は事実上の選挙戦が始まった通常国会の閉幕時、消費税率の10%への引き上げの再延期について「国民の信を問いたい」として「与党で改選過半数」を目標に掲げた。
一方、第1次政権以来、一貫して主張し続け、今年1月の年頭会見では「参院選でしっかりと訴えていく」と明確に意思表明していた憲法改正については、「衆参両院の憲法審査会で議論の集約がまったくない中、やみくもに争点にしろというのはおかしい」と争点化を回避しようとしている。
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