参議院選挙が始まった。参議院が政局に大きな影響を持つようになったのは、1989年の「土井ブーム」による社会党躍進のとき以降である。与党は参議院での過半数維持に腐心するようになり、連立政権が常態化した。また参院選は政権選択の機会ではないものの、選挙の成績は政権の存続にも大きく影響するようになった。89年以来、9年置きに自民党は大敗し、内閣の退陣を経験してきた。9年前は、安倍晋三首相が率いる自民党が大敗し、その後体調を崩して退陣しただけに、今回の選挙にはリベンジを懸けて臨んでいることだろう。内閣、自民党ともに高い支持率を維持しているだけに、大敗は予想できない。
むしろ、今回の参院選の結果が左右するのは野党指導者の帰趨、野党の政治路線である。
2012年の第2次安倍政権成立以来、当時の民主党は復活の戦略を立てられないまま時間をいたずらに過ごしてきた。野党は分裂した状態が続き、国政選挙では自民党の大勝を許してきた。安倍1強政治といわれるが、選挙における自民党の得票、特に全有権者に対する絶対得票率は実際には低い。国政選挙の投票率が50%強で、その4割程度の有権者が自民党に投票しているだけである。安倍自民党以外には選択肢がないという状況が、事実上の1強政治を作り出してきた。
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