与野党全面対決となった安全保障関連法が混乱の中、成立し、通常国会が閉幕したのを受けて、安倍晋三首相は「経済優先」の姿勢を打ち出している。安保関連法が「憲法違反」との指摘を受け、首相らの説明も十分とは言えなかったことから、内閣支持率が急落したため、首相は勢いを取り戻そうと懸命だ。
しかし、「経済優先」の中身ははっきりしない。来年夏の参議院選挙を控えて業界団体が反発しそうな改革は進みそうにない。一方で、改革が失速すれば、株価も伸び悩み、経済全体の低迷が避けられない。安倍政権はジレンマを抱えたままである。
通常国会の閉幕に当たって、安倍首相は9月24~25日の両日、相次いで記者会見した。経済優先の姿勢を繰り返し、「これからはアベノミクスの第2ステージだ」と強調した。金融緩和、財政出動、成長戦略からなるアベノミクスの「3本の矢」に代わる「新3本の矢」も発表した。
1.「希望を生み出す強い経済」をつくり、GDP(国内総生産)は600兆円を目指す、2.「夢をつむぐ子育て支援」を進め、女性一人当たりの出生率は1.8を目標とする、3.「安心につながる社会保障」を整備し、2020年までに介護離職ゼロを目指す──といった内容だ。
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