日本銀行が導入を決めたマイナス金利政策は、金融機関の収益に与える影響を限定的にしたり、短期金融市場の取引も維持できるようにしたりするなど、一つの戦術としてはよく考えられている。
だが、根本の金融政策の立て付けは限界を来している。黒田東彦総裁の就任後、2013年4月から始まった金融緩和は短期決戦を想定したものだった。大量の国債購入で中央銀行のやる気を見せつけ、企業や家計のマインドをデフレ期待からインフレ期待へ一挙に転換させるのが狙いだった。当時、総裁は「戦力の逐次投入をせず、現時点で必要な政策をすべて講じた」と述べていた。人々の期待が一気に変化するのであれば、半年から1年の間に起こるはずだが、実際はそうなっていない。
結局、2年間で物価上昇率2%を達成するもくろみは実現できておらず、短期決戦だったはずが持久戦の様相を呈している。大きな戦略が行き詰まる中、戦術だけでカバーするのには限界がある。今年1月の金融政策決定会合は、政策の枠組みを見直すチャンスだった。
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