東京都世田谷区にある住宅展示場。大和ハウス工業の営業担当者は「マイナス金利になったからといって、来場者数が特段増えたとは思えない」と漏らす。
変わったとすれば、商談中に住宅ローンの組み替えをする顧客が増えたことだという。住宅購入の総額は変えずに自己資金を減らし、借入部分を増やすパターンだ。たとえば総額4000万円のうち頭金1000万円、借入金3000万円で購入を検討していた顧客が、頭金を500万円に減らし、その分だけ借入金を増やすような例が目立つという。
銀行だけ鼻息が荒い 30年固定0.7%を提示
マイナス金利の導入で盛り上がりが期待される住宅業界だが、現場は思いのほか冷静だ。戸建て住宅大手各社の2月の受注額を見ても、前年同月比プラスとマイナスが混在する。一段の金融緩和が実需に結び付いていると言うのは早計のようだ。
少なくともこの20年、住宅の新設着工戸数と金利の動向に直接の相関は見られない。住宅着工に影響を与えるのはそれよりも、賃金動向であり、増税だ。業界には来春に予定される消費再増税を前に駆け込み需要を期待する向きがあったが、早くも「前回(14年4月)の消費税率引き上げ前の駆け込み需要ほど山は高くない」というあきらめムードが漂う。実質賃金がなかなか上がらないうえ、前回の駆け込みによってかなりの需要を先食いしてしまったと考えられるからだ。
マンションも鈍い。不動産経済研究所の調査では1月の首都圏の販売戸数は前年同月比11%減。1戸当たり平均価格は5500万円を突破、価格上昇に購入者がついてこられず、郊外では開発数自体が減少している。「金利が多少下がったからといって、購入が増えることはないんじゃないか」(大手デベロッパー)。
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