日本銀行が発動した新たな金融政策は、金融行政にどう影響するのか。多くの金融関係者が今、金融庁の姿勢を見守っている。
が、答えは簡単である。「マイナス金利下においても、何ら変わらない」ということに尽きる。
もちろん、マイナス金利という劇的な環境変化であるだけに、金融システム維持の観点から、これまで以上に精緻で現実的なストレステストの実施を求める。その実行を促進するためにもアンケート調査、ヒアリングなどを強化するに違いない。現に、市場リスクなどに関する調査には乗り出している。だが、それは従来の延長線上の対応にすぎない。
金利を上げて融資奪取 幹部が持ち出す「逸話」
最近、金融庁幹部が銀行業界に語りかけている逸話がある。ある地方銀行支店長が行内誌に寄稿した「若かりし頃の経験談」だ。銀行と取引先企業の関係について触れている。要約するとこうだ。
粘り強い訪問によって、他行がメイン先だった企業の社長に評価され、融資奪取に成功した。その際、自分はメイン行より低い貸出金利の提案書を出そうとした。すると、上司は「金利を下げての他行肩代わりならば誰でもできる」としかった。結局、メイン行よりも高い貸出金利の提案書を持参する羽目になった。彼は社長に罵倒されると思ったが、提案書を見た社長は当初こそ驚いたものの、最後は笑顔で取引に応じてくれた──。
金融庁は昨年夏以降、銀行の融資先企業へのヒアリングを実施している。ちょうど、日銀がマイナス金利導入を決定した1月29日のことだ。財務省では財務局長会議が開催され、金融庁による融資先企業ヒアリングの第2回報告が行われていた。そこで明らかにされたのは、「銀行と企業の間での認識ギャップ」にほかならない。端的にそれが表れたのが経営者保証ガイドラインに関して、である。
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