東芝の時価総額(株価×発行済み株式数)は9月10日時点で約1.4兆円。同じ重電大手と比較すると、日立製作所(約3兆円)の半分以下で、売り上げ規模が東芝より小さな三菱電機(約2.5兆円)にも遠く及ばない。
株式市場での東芝に対するこうした厳しい評価は、今回の不正会計が発覚する以前からのことだ。きっかけとなったのは、2011年3月に起きた東日本大震災。福島第一原子力発電所の炉心溶融事故により、世界的な原発推進ムードが一変。原発を経営の柱に位置づけていた東芝の株価は著しく下落した。
しかし、東芝の評価が低いもっと大きな理由は、総合的な収益力の弱さにある。日立が情報システムや建機、自動車部品など幅広い部門で稼ぐのに対し、東芝はNAND型フラッシュメモリを核とする電子デバイス部門が全社利益の大半を稼ぐ一本足打法の収益構造となっている(図表2)。
問題は他部門の収益性の低さ。中でもパソコン(PC)やテレビ、生活家電を主とするライフスタイル部門が多額の赤字を出し続けていることだ。「稼げる半導体事業があるにもかかわらず、PCなど赤字事業のせいで東芝の時価総額はディスカウントされている」と、元電機業界トップアナリストの若林秀樹・サークルクロスコーポレーション社長は指摘する。
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