東芝の第三者委員会の調査報告書(以下、報告書)は不正経理事件の直接的原因の一つとして「上司の意向に逆らうことができないという企業風土が存在していた」と一言で片付けている。だが、そんな会社はどこにでもある。知りたいのは、社員が隠蔽に荷担しトップの暴走を許すような組織・人事制度上の問題がどこにあったのか、だ。
調査は西田厚聰・佐々木則夫・田中久雄氏の歴代3社長の7年間に限定している。だが、東芝がボトムアップ型からシックスシグマの手法を使ったトップダウン型の経営に全面転換したのは1999年にさかのぼる。シックスシグマとは、トップが達成目的(ターゲット)を数値で設定、現状とターゲットの乖離の要因を追究し、効果的な方法で目的を実現する経営手法である。
社内カンパニー制導入による分権化と同時にコーポレートトップに権限の集中を図る組織変革を実施したのも99年だ。同時に始まった全社的経営変革運動・MI(マネジメントイノベーション)で掲げた目標の一つが「成果主義重視の企業文化の醸成」だった。すでにこの時点で今回の事件に至る土壌が形成されていたと見ることができる。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら