東芝メディカルシステムズ(TMSC)の買収をめぐっては、国内外の複数社が名乗りを上げたといわれている。争奪戦の様相を呈したのは、TMSCが医療機器業界でグローバル大手の一角だからだ。
医療分野といっても、カテーテルや注射器などの治療機器、健康診断などに使用される機器や薬など多岐にわたる。TMSCが主力品として手掛けているのは、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像装置)、超音波診断機器などの診断機器だ。特にCTは、年によって多少の変動はあるものの、つねに世界シェアでトップ3に入り、米GEや独シーメンスと競っている。
成長分野の位置づけだった
2013年に就任し、昨年の不正会計問題発覚で引責辞任した東芝の田中久雄前社長は、このメディカル事業を成長分野と位置づけていた。というのも、同社の主力部門の原子力事業と半導体事業は浮き沈みが激しく、収益がなかなか安定しない。一方、国内のメディカル事業は、病院での買い替えなど一定の需要が見込める。安定的な収益柱に据えたうえで、今後拡大が見込まれる東南アジアなどに事業を広げるもくろみだった。
実際、近年の投資は積極化していた。14年6月にはマレーシアに現地法人を設立し、東南アジアでの販売を強化。同年12月には研究体制の拡充を発表した。さらに、マレーシアに超音波診断装置の製造拠点を設置。15年10月にはフランスの医療画像処理ソフトウエアメーカーを買収し、MRIの強化にも乗り出していた。東芝は昨年末に発表した再建プランで事業ポートフォリオの見直しを打ち出し、TMSC放出に動いたが、従来はまさに「虎の子」というべき存在だった。
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