社外取締役が全員反対──。2016年2月3日、日立製作所では4月からの人事を決める取締役会で、ある事案が否決された。その事案とは、中西宏明会長が執行役員から外れる件である。
中西会長は川村隆・現相談役を筆頭に日立復活を牽引した「チーム川村」の6人衆の一人。10年から社長、14年から会長兼CEO(最高経営責任者)として舵取り役を担った。
その中西会長が今年4月からCEOを外れた。結果的に社外取締役の抵抗で果たせなかったが、本人は、執行役からも外れようと思っていたという。中西氏がそう考えた理由は、社内の指示待ち風土にあった。
日立では中西氏がCEOになった2年前から、「中西さんに聞けばいい」という雰囲気が社内に充満していた。執行役を外れれば、今の風土を変えることができる──。中西氏はそう考えたが、その豊富な海外人脈をすぐには引き継げないとの理由から、社外取締役8人が全員反対したのだ。
日立の取締役会は12人中社内が4人、社外が8人。うち4人が外国人である(16年3月時点)。米3Mや資源メジャーの英アングロ・アメリカンなど有名企業のCEOを直近まで務めた辣腕経営者を社外取締役として迎えている。
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