“停滞”が目立つ日立製作所も手をこまぬいていたわけではない。グループを含む全従業員33万人を乗せた超巨大船の針路を変えるべく、動きだしている。舵取り役は2014年に就任した東原敏昭社長だ。
これまでの2年間、日立=中西宏明会長というイメージが強く、東原社長は就任以降も目立った存在ではなかった。しかし今年4月に、社長職に続きCEO(最高経営責任者)職も中西氏から託された。これで名実共に日立のトップに就いた。
東原社長は中西会長と違いカリスマ的な存在ではないが、道を決めたら一気に突き進む猪突猛進型のリーダー。ある幹部は東原社長を「明るい乱暴者」と形容する。
組織形態をゼロから再考 たどり着いた「BU制」
東原改革がキックオフしたのは、9カ月前だ。汗ばむ陽気の15年7月14日、東京・丸の内の日立本社に40〜50代の若手幹部候補、約50人が集められた。「今日がDay1、記念日だ!」と東原社長は集まったメンバーの前で宣言した。
約50人に与えられたミッションは、日立のあるべき組織形態をゼロから考え直すことだ。狙いは従来の製品販売主体の会社から、顧客の要望を聞き、データ分析などのサービスと一体として提供する会社への転換にあった。
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