日本郵便の数少ない成長事業!?
民営化で動きだした巨大不動産事業
「切手」と「来て」をかけてKITTE──。名称を聞いて思わず「うまい」とひざをたたいた人も少なくないだろう。日本郵便が2013年に初めて開業した商業施設は、東京駅に隣接する旧東京中央郵便局の敷地に建つ。名称に込めた思いが通じたのか、初年度に2297万人の来館者を集めた。華々しいデビューを飾ったかに見えた日本郵便の不動産事業だが、不動産業界の受け止め方は違う。
KITTEは旧局舎の外観を残す低層階で営業している。8階から上はオフィスフロアとなっており、オフィスも含めたビルの名称はJPタワーという。丸の内ビジネス街の中でもJR東京駅から最も近くに位置するだけに、オフィスビルとしての格は国内最高クラスだ。
だが、このフロアが開業当初なかなか埋まらなかった。「かなり苦労した。ほろ苦いデビューだったと思うよ」。ある不動産仲介業者はそう述懐する。
JPタワーのオフィスフロア部分は、商業施設KITTEに先駆けて12年5月に開業した。時はオフィスビルの過剰供給が指摘された「2012年問題」の終盤。さらに東日本大震災後の企業業績低迷が追い打ちをかけ、賃貸ビル業にとってはどん底の時期に当たる。そんな中、JPタワーは坪単価月5万円近い強気の賃料を設定。これがあだとなった。
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