揺らぐAIIB 対 TPPの構図
TPP(環太平洋経済連携協定)交渉の挫折が米国のアジア戦略を直撃した──。国営新華社通信はいささか喜びが感じられる調子の第一報を流した。米ハワイで行われていたTPP参加12カ国の閣僚会合が、7月31日に大筋合意ができないまま閉幕したというニュースは、中国でも高い関心を集めた。
中国には、TPPは米国による中国包囲網だという見方が根強くある。一方で、水準の高いFTA(自由貿易協定)に参加することは中国の産業の高度化に有利だとの意見もあり、その決着はまだついていない。
「われわれがルールを作らなければ、中国がアジアでルールを確立してしまう」。オバマ大統領が米メディアにこう語り、TPP早期妥結の必要性を訴えたのは4月下旬のこと。その背中を押したのは、中国が提唱して今年末までの業務開始を見込む国際開発金融機関、AIIB(アジアインフラ投資銀行)の創立メンバーが57カ国にも及んだという事実だ。
日本と米国が主導するADB(アジア開発銀行)の67カ国に匹敵する。米国はG7(先進7カ国)からの参加はないと踏んでいたが、ふたを開けてみれば欧州から英仏独伊の4カ国が参加を表明。米国のメンツは丸潰れとなった。
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