映画『ビリギャル』が話題である。成績ビリの女子高生が、塾講師の指導の下で一念発起し、慶応義塾大学に合格したという実話に基づいたストーリーだ。しかしビリギャルは、大学までエスカレーター式のお嬢様学校の中でビリだったにすぎず、親が大金を前払いして彼女を塾に通わせ慶応に合格させたのである。冷静に考えれば相当な好条件に恵まれていたわけで、本当に「感動的」といえるかは疑問だ。
それよりももっと切実なのは、不登校をきっかけに高校を中退してしまった若者たちのケースだろう。学歴社会のレールを外れたことの悩みは、親にとっても本人にとってもずっと深い。彼らが難関大学に合格することは、ビリギャルをはるかに凌駕する一発逆転のサクセスストーリーではないだろうか。そして、その事例はけっこう豊富に存在する。
筆者は本業の傍ら、河合塾コスモという、主に高校中退者を対象とする予備校に、現代文・小論文の講師として10年間勤務してきた。コスモは高等学校卒業程度認定試験(高認、旧大学入学資格検定)に生徒を合格させたうえで、大学進学まで指導することを目的とした予備校である。高認は高卒者と同等以上の学力があることを証明する試験で、合格すれば大学・短大・専門学校の受験資格が得られる。
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