現在英国では総選挙が行われており、5月7日の投票日に向けて、激しい選挙戦が続いている。私も、英国政治学会に参加するため3月末~4月初めに英国に滞在し、選挙に関する多くの研究報告や記事を聞いたり、読んだりした。
英国では20世紀前半に労働党が自由党に代わって2大政党の一角にのし上がり、第2次世界大戦中の挙国内閣の時代を除いて、70年にわたって2大政党による政権交代を繰り返してきた。しかし、今回の総選挙によって2大政党制は大きく変容しようとしている。世論調査では、保守党、労働党ともに獲得議席は全体の650議席のうち280議席前後と予想されている。
政権を取るためには第3党以下との連立が必要となるが、今まで保守党と連立を組んできた自由民主党は、政権維持のために自党の公約を破り、支持者を失望させ、この選挙では大敗が予想されている。多党化の主役は、スコットランド国民党(SNP)である。この党は、独立をめぐる住民投票では敗れたが、スコットランド人の政治意識を変化させ、今回の選挙ではスコットランドを制圧、50議席近く取ると予想されている。しかし、SNPは連立政権への参加意欲を表明しておらず、連立交渉は混沌とすることが確実である。
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