ギリシャに代表されるように、混迷する欧州経済だが、暗い話ばかりではない。一筋の光明となるのが、北欧のフィンランドで活発になる起業支援の広がりだ。
きっかけは携帯電話メーカー、ノキアの経営不振だった。同社は2011年まで携帯電話端末で世界首位を誇ったが、米アップルのアイフォーンなどスマートフォン誕生の波に乗り遅れ、業績が急速に悪化した。14年4月には、携帯端末部門を米マイクロソフトに54.4億ユーロ(約7300億円)で売却。規模を縮小した現在は通信インフラ領域に特化している。
この出来事は、フィンランド国民に衝撃を与えた。なにしろノキアは同国におけるGDPの約4%を占めていたからだ。「ノキアとフィンランドを殺したのはアップルだ」。昨年10月、同国の格付けを格付け会社が引き下げた際、ストゥブ首相はメディアにこう語ったと伝えられている。
1.4万人が参加する世界最大規模のイベント
ノキアの失速からどう立ち直るか。その試行錯誤の中で生まれたのが、近年大きな盛り上がりを見せているイベント「SLUSH(スラッシュ)」だ。運営元は民間の非営利団体で、フィンランド政府が後援している。
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