イタリアには日本との共通点が数多くある。戦後の劇的な経済成長と近年の長期不況。1.39と日本に並んで低い出生率。非正規労働者、ワーキングプアの増加。GDP比132%と欧州連合(EU)内でギリシャに次ぎ悪い政府債務残高。女性の社会進出の遅れなどだ。
短命な政権もその一つ。2000年以降日本の首相は計9回交代し、イタリアは6回交代した。イタリアの権力を牛耳ったベルルスコーニ氏が11年11月に辞任してからは、2度首相が入れ替わっている。
ベルルスコーニ氏の後任は経済学界から抜擢されたモンティ氏だった。欧州債務危機の嵐が襲う中、モンティ氏はあえて急進的な財政改革に舵を切ったが、この政策は国民の不評を買った。特に住宅に重税を課したことが引き金となり、わずか1年半で国民により辞任に追い込まれた。後任のレッタ氏も改革のスピードが遅いとの批判を受け、辞任に追い込まれている。
間隙を突くのが、反EUを掲げる新党「五つ星運動」だ。同党は13年2月の総選挙で主流派政党の仲間入りという躍進を果たした。お笑い芸人出身のグリッロ氏が率い、ユーロ圏離脱の国民投票実施を訴える。
政治は混沌としているが、イタリア経済の問題は明確だ。それは労働生産性の低さにある。図表1にあるとおり、先進諸国の中でも顕著に生産性が下がっている国はイタリアだけ。日本もこの数値は上がっている。イタリアは、稼ぐ力が国家レベルで衰えている状況といえる。
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背景にあるのは、非効率な産業規制だ。少なすぎるタクシーや銀行の劣悪なサービス、休日や夜中は閉店ばかりの小売店といった状況につながっている。労働者の解雇規制の厳しさはEU内でワースト2だ(世界経済フォーラム調査)。
教育レベルの低さも関係している。トップの大学でも世界大学ランキングで150~200位にすぎない。高等教育に関する政府支出はGDP比で1%以下と、他のユーロ圏先進国に比べても少ない。
この結果、外国企業はイタリアへの投資を躊躇し、雇用はますます減少している。優秀なイタリア人は外国で学び、外国で働いている。悪循環がイタリアをむしばんでいる。
史上最年少首相レンツィ氏への期待
そんな中、国民が期待をかけるのが14年2月に同国最年少(当時39)で首相に就任したレンツィ氏だ。抜群のルックスで人気も高い中道左派の同氏は、モンティ氏が頓挫させた構造改革を再び前進させている。労働組合の反発を買いながらも、すでに解雇規制の緩和や小売店舗の日曜営業など規制緩和策に着手した。
しかし、イタリアには依然政界に“妖怪”のような影響力を有するベルルスコーニ氏がいる。同氏はレンツィ氏の経済政策への不満を訴え、政権復帰の機会をうかがう。若き宰相の構造改革がすんなり行くとは考えにくい。
巧みな外交力でイタリアはEUの国政介入を阻止してきたが、今後もそれが続く保証はない。EUが財政問題でしびれを切らさぬよう、レンツィ氏の手腕が問われている。






















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