セブン、「免税コンビニ1号店」に透ける深謀 ローソン、ファミマが様子見の中で先行出店

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セブンが他社に先駆けて免税対応に踏み切る“うまみ”は、独自商品の存在だ。同社の広報担当者によると、セブンだけで販売されているスキンケアブランド「雪肌粋」シリーズ(コーセー製)が外国人旅行客に大人気だという。

1日450個売れる洗顔料

このシリーズの洗顔料「ホワイト洗顔クリーム」(税抜き460円)は、「多い店だと、1カ月に1万3000~1万4000個も売れる。高品質の日本製品を手頃な価格で購入できることが、口コミなどで広まっているようだ」(広報担当者)。

1万4000個が30日で売れるとすると、1日当たり450個以上、20万円を超える売り上げになる。これは、セブン1店の1日当たり平均売上高66万4000円(2013年度)の3分の1に迫る数字だ。免税サービスで人気商品の売れ行きがさらに伸びるとすれば、その効果は決して小さくない。

もう1つのうまみは、店内に置かれたATM(現金自動出入機)との相乗効果だ。海外で発行されたキャッシュカードやクレジットカードが使える国内のATMは、セブン銀行など一部に限られている。2020年の東京オリンピックに向けて対応台数は増えていく見込みだが、現在のところ、「外国人観光客を引きつける強み」(広報担当者)になっている。これに免税サービスが加われば、外国人観光客の囲い込みが一段と進むことになる。

免税コンビニが土産の購入場所として定着すれば、王者セブンの強みがまた1つ増えそうだ。それをローソン、ファミマは本当に指をくわえて見ているだけなのか。セブン、そして競合2社の次の一手が、業界の情勢に大きな影響を与えそうだ。

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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