相次ぐ「格安スマホ」、伸びるのか?徒花か?

巨大市場に向けて意外な会社も参入

そうしたビジネス上のポテンシャルを後押しするように、環境も激変している。

まず、スマホ市場の成熟化に伴って、端末の価格低下が進んだ。スマホはガラケーとは異なり、キャリアが提供する特定のサービスと統合されていないため、どんなスマホでもAndroidが持つ機能は一通り使うことができる。この共有化効果のインパクトは大きかった。

しかも台湾製の端末は、低価格の割には、質感も十分に高くなっている。今後は、小米科技(シャオミ)のような付加価値が高い割に格安なスマホも日本に上陸してくることだろう。

さらに、格安SIMを提供するMVNO業者のサービスも多様化している。日本通信のような専業だけでなく、IIJ、ニフティのようなプロバイダ系、ヨドバシカメラ、ビックカメラのような家電量販店系が参入。さらに、ワイモバイル(旧ウィルコム)のように、大手キャリアのセカンドブランド的に展開する会社も出てきた。ワイモバイルは月額2980~5980円。端末の種類も豊富に用意している。同社の訴求ポイントは、ソフトバンクよりも安い料金プランがある、という点だ。

格安スマホの登場は、大きな意味を持っている。利用者は、SIMフリー化の流れと相まち、「サービス品質」や「必要な通信容量」などによって、自分に適したメニューを選べる時代になったのだ。

今年の春先までは高額なインセンティブと割賦販売によりiPhone5sのような高級端末ばかりが売れていたが、状況はめまぐるしく変わったといえるだろう。今後は、幅広い選択肢の中から端末やサービスを選べる時代へと徐々に変化していくのではないか。

本格的な競争環境へ

もちろん、当面の間、主流は、キャリアによるインセンティブ+割賦販売モデルで高級機種だろう。しかし、選択肢の増加、格安スマホの認知は今後間違いなく拡がっていく。さらに”SIMフリー化”が、総務省の目論見通りに進めば、子どもや配偶者など家族内で1世代前の端末を使い回しながら、通信サービスだけ格安のMVNOを利用するといったトレンドも増えるはずだ。

長期的に見れば、そうした人の流れの変化が格安と言われるスマホや通信サービスを成熟させ質を向上させる。また、必ずしも上位製品に拘らない人も「どのスマホでも自分のニーズは満たせる」として、より安価に賢くスマホを使おうとする利用者の割合は少しずつ増えるだろう。

現時点だけを見るならば、契約の際に手続きに時間が掛かるなど、格安スマホには課題もある。しかしながら、そうした問題は本質ではない。注目を集め、そこに企業、ユーザーが集まり始めれば、時間と共に急速に問題が解決していく可能性が高い。スマホ本体の低価格化やMVNO事業への参入障壁が下がっている現状を考えると、携帯電話事業を取り巻く競争環境が大きく変化していくことは間違いないだろう。

 

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