東芝が24日、都内で開催した臨時株主総会で、会社提案の2社分割計画議案は反対多数で否決された。戦略の再検討を提案した大株主議案も否決されたことで、昨年から同社が検討を続けてきた再編計画は大幅な軌道修正を迫られることになった。
総会で審議されたのは、デバイス事業を分離してインフラサービス事業を含む東芝本体と合わせて2社とする分割案と、第2位株主の3Dインベストメント・パートナーズが提案した非公開化も含めた戦略の再検討を求める案の計2議案。
午前10時に始まった総会は午後0時17分に終了。14人の株主が質問し、会社計画に異を唱える意見も出たが、綱川智取締役会議長は「今回の計画がベスト」と述べ、計画をぜひ進めたいと説明した。島田太郎社長兼最高経営責任者(CEO)も量子技術などで「東芝の技術ここにありと示したい」と述べた。
だが、総会の採決で2社分割計画、戦略再検討案がともに否決されると、午後の株式市場で東芝株は売り気配で始まり、取引が開始されると一時前日比5.1%安の4542円まで売られた。午前には前日比2.6%高の4907円まで買われる場面もあった。
混迷の行く末
きょうの決議は法的拘束力を持たず、再編計画の正式決定は2023年の定時株主総会となる。だが、株主総会の終了後に島田氏は、「今回示された株主の皆さまの意向を踏まえて、企業価値の向上のためにあらゆる戦略的選択肢の検討を行ってまいります」と述べた。
市場関係者からは、決議内容に冷めた声が聞かれた。しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は、2社分割計画と非公開化のどちらにも株主が「魅力を感じていない」ことが明らかになったと指摘した。とはいえ、現状に満足しているわけでもないため、「また一から株主と対話しながら、企業価値を向上させるための最善作を模索していくことになる」と話した。
東芝は昨年11月、インフラサービス事業も分離、上場させる3社分割計画を発表したが、一部株主が反対を表明したことなどで計画を修正。トップ人事についても臨時総会前に刷新する必要があると判断し、今月1日付で島田氏が綱川氏の後任として社長兼CEOに就く人事を断行した。
東芝の分割計画には筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントやファラロン・キャピタル・マネジメントも反対を表明。米議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)とグラスルイスも分割案に反対票を投じるよう株主に勧告していた。
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著者:古川有希
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