露と消えた横浜ベイスターズ買収、住生活グループの次の一手--潮田洋一郎会長

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 「では、テレビCMや(トステムがスポンサーとなっている)鹿島アントラーズの応援をしてはダメなのか。定款には違反していない。創業者も実は球団を持ちたかった。(トステムの前身の)トーヨーサッシの時代から私と何回も論議した。創業者が買収をやめさせた事実はまったくない。今は経営の機微について話すことはないが、(破談を報告すると)『残念だったね』と言っていた」

住生活グループは11月1日、トステムやINAXなど傘下の五つの事業会社を来年4月にリクシルの名前を冠した新会社へ統合すると発表した。買収が計画どおりにいけば、社内的にはグループ全体の求心力、対外的には新会社の知名度アップの“旗印”となるはずだった。

だが、本業の急激な市場環境の変化は、失敗の感傷に浸っている暇を与えない。

「国内の新築市場は数年前に比べて3割減っている。われわれも固定費を3割減らさないとやっていけない。しかし、3割減らすと成長の芽もなくなる。減らした部分の人員を、成長分野に投入しなければならない」

ゼロからのブランド構築 「LIXIL」の青写真

リクシル設立の狙いは、トステム、INAXといった単なるメーカー寄せ集めから脱皮し、流通分野への進出を加速することにある。

これまでの住宅設備産業はキッチン、トイレなど30強の商材群ごとにメーカーや下請け業者が乱立し、それぞれの商流の中でのみ競争を繰り広げてきた。しかし、縮小一途の市場環境では、商材の垣根を越えた、生産から流通まで一気通貫の新しいビジネスモデル構築が不可欠だ。

「各事業会社の営業組織の重複部分は流通の統合に振り向ける。今は自社製品しか売っていないが、TOTOやYKKといった他社の製品も含めて、いいサプライチェーンが組めれば、年商1兆円の新しいビジネスができ上がる」

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