駅から撤去が進む「正確な時計」まだ知らない真実 一般向けとは違う仕組みで時刻合わせしている
JR東日本が駅の時計の撤去を進めている。駅構内のホームやコンコースなどでは時計が当たり前のように設置され、東京駅などでは駅舎にも時計が組み込まれている一方で、無人駅などでは時計がないのも事実で、今後は時計がない駅が増えることになりそうだ。
鉄道の時計というと、ファンの間では運転士や車掌といった乗務員が使用している懐中時計などがよく知られている。懐中時計は定期的に時刻を合わせる必要があるのだが、駅の時計の大半は時刻合わせを必要としない。時刻合わせを必要としない仕組みができているからだ。
日本の鉄道は正確な時刻で運行されることで世界的に有名だが、時計によって表示する時刻が違うようでは正確な運行はできない。すべての時計で表示される時刻が一致していることが必要となる。
30秒に1度、針が動く
駅の時計は、基準となる親玉の時計を設定し、ほかの時計は基準の時計の時刻に従うことで、時計が違っていても同じ時刻を表示する仕組みになっている。この基準の時計は親時計、基準の時計に従う時計は子時計と呼ばれている。私たちが駅で目にする時計は子時計で、親時計は別の場所にある。
こうした親子時計のシステムは鉄道のみならず、学校や病院、工場、公園などでも使われている。「設備時計」という言葉で検索すると、これらの時計を扱うメーカーがヒットするのだが、鉄道では電気時計と呼んでいるようだ。
腕時計や家庭用のアナログ時計では、時計の針はつねに動いている。時計をじっくり見ていると、時計の分針がわずかに動いている様子がわかるだろう。
だが、電気時計と呼ばれる駅の時計のほとんどは30秒に1度しか動かないのが基本だ。
電気時計・設備時計では、親時計から子時計に直流24Vの電気を信号として流し、30秒に1度だけ、極性(プラスとマイナス)を入れ換えることで時計が動く仕組みになっている。動く際に「カシャン」という音がするのだが、喧騒のある駅では聞き取りにくい。
では、親時計はどうやって正確な時刻を認識するのだろうか。
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