日銀がコスト高による経済の下押しリスクを懸念 物価上昇は一時的、金融緩和修正の必要なしと判断

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日本銀行は、ロシアのウクライナ軍事侵攻に伴う原油価格急騰を受け、当面の消費者物価は1月時点の見通しよりも上振れて推移する可能性が大きいとみている。コスト上昇を通じて日本経済を下押しするリスクとして警戒を強めている。複数の関係者への取材で分かった。

関係者によれば、ガソリンや電気代などエネルギー価格の動向次第では、携帯電話通信料の値下げの影響がはく落する4月以降に、一時的に消費者物価は目標の2%に達する可能性もあるとみられている。ただコスト高による物価上昇は持続性に乏しく、米欧の中央銀行のような金融緩和の修正を議論する状況ではないという。

ウクライナ情勢の緊迫化に伴い、原油価格は前回1月の金融政策決定会合時の1バレル=85ドル程度から足元で同110ドル程度に急騰している。政府は4日、原油価格高騰を受けて関係閣僚会合を開催し、石油元売り会社に支給している補助金の上限を1リットル当たり5円から25円に引き上げる激変緩和措置の拡充を決めた。

1月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、2022年度の消費者物価(生鮮食品を除く、コアCPI)見通しを1.1%上昇(従来0.9%)に上方修正していた。次回の展望リポートは4月に公表される。

関係者によると、ウクライナ情勢の展開次第では、原油価格が一段と上昇したり、高止まりする可能性も否定できず、17、18日に開く次回会合で個人消費を中心に景気の総括判断の引き下げが議論になり得るという。日銀は前回1月の決定会合で、景気の総括判断を「持ち直しが明確化している」に引き上げた。 

今年に入ってからのオミクロン株の感染急拡大を受け、昨年末にかけて日本経済をけん引した個人消費は再び失速。国内工場の稼働停止など供給制約の影響で、輸出・生産も弱めの推移となっていた。

(説明や原油価格のチャートを追加して更新しました)

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著者:伊藤純夫、藤岡徹

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