ITの天才、小・中・高校生から育成する「未踏ジュニア」の凄み 日本は才能を「発掘し育てる」プログラムがない

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IT分野の人材育成が遅れる日本、企業との連携をもっと進めるべき

鵜飼氏は、これまでマイクロソフトなど多くのキャリアを外資系企業で築いてきた。海外に留学した経験も、海外で仕事をした経験もある。コンピューターサイエンスを学び、文部科学省で働き、現在は外資系大手IT企業に籍を置きながら経産省の「デジタル関連部活支援の在り方に関する検討会」の委員も務めている。そうした自らの経験や知見を踏まえて、日本の課題についてこう指摘する。

「プログラミングが必修化されたり、大学入学共通テストに情報が新しい教科として入ることが決まったのはいいことだと思います。しかし、日本はまだIT分野の人材育成が遅れています。企業やエンジニアには、プログラミング部などの中学校や高校のIT系部活動にもっと関わってほしいと思いますし、そうしなければスキルがあるのに埋もれている子どもたちを引き上げることはできないと思います」

学校教育の充実は大事だが、それだけでは足りないということだろう。とくに日本では、吹きこぼれといわれるような子どもたちの突出した才能や個性を伸ばす教育が十分ではない。一方、企業との連携もなかなか進まない。プログラミングコンテストのような才能を発掘しようという催しはたくさんあるが、未踏ジュニアのように伸ばして育てようという育成までを手がけるプログラムはわずかしかないなど課題は多くある。

「日本は同調圧力がすごいので、ほかの子とちょっと違う子ははじき出されがちです。そういう子どもたち自身も、周りの子と興味や関心のレベルが合わないと面白くなくなってしまう。いろいろな価値観を持つ子ども、さまざまなスキルを持つ子どもたちが、もっと生きやすいようにしていく必要があると考えています」

今やどんな学問、研究、ビジネスであっても、ITの力を借りなければほとんど成り立たないのが実情だろう。ならば、ITを活用して新しい価値やモノを創造できる人材を育てることは、極めて重要な社会課題といえる。

鵜飼氏によれば、未踏ジュニアのような取り組みは海外でもあまり聞かないという。そんな世界的にもあまり例のない新しい取り組みが、この日本で動いていることに、一縷(いちる)の希望を託したくなる。

(文:崎谷武彦、注記のない写真:Fast&Slow / PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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