ITの天才、小・中・高校生から育成する「未踏ジュニア」の凄み 日本は才能を「発掘し育てる」プログラムがない

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採択されると、約5カ月間、担当のメンターと週に1度程度のミーティングを行って助言を受けながら自身の開発を進めることになる。最大50万円の資金援助が受けられるのも魅力の1つだ。現在は、コロナ禍のためオンラインになっているが、育成期間中には2度の合宿が行われ、最後に成果報告会が開かれるというのがプログラムの大まかな内容である。

未踏ジュニア卒業の実績を生かして、大学入試では都立大学や、慶応大学湘南藤沢キャンパス(SFC)、近畿大学の推薦枠に出願することもできる(SFCと近畿大は顕著な成果を残した参加者「スーパークリエータ」の認定が必要)。

ちなみに21年度は、14名の14プロジェクトが採択されている。プロジェクトの内容は「『植物が生きている』ことを直感的に感じるために、テクノロジーの力で『植物の機能』を拡張するプロジェクト」「VRコントローラーを筆とパレットのように使い、直感的に立体物が作れるアプリ」や「あらゆるデータを複数の周波数と振幅の合成波に変換し、空間と時間を活用した通信を提供するプロトコル」「全て3Dプリントされた四足歩行ロボット」など、バラエティーに富んでいるうえに、小・中・高校生が考えたものとはにわかに信じがたいような高度なものも多い。

2021年度の採択例。「植物が生きている」ことを直感的に感じるために、テクノロジーの力で「植物の機能」を拡張するプロジェクト「Cybotanic:サイボーグ化された植物」(左上)、あらゆるデータを複数の周波数と振幅の合成波に変換し、空間と時間を活用した通信を提供するプロトコル「TELPort/テルポート:音波による高速通信プロトコル及び、スピーカーとマイクを介した送受信アプリ」(左下)、VRコントローラーを筆とパレットのように使い、直感的に立体物が作れるアプリ「VRSandbox:誰でも簡単3Dモデリングツール」(右上)、モデルデータ、コードを共有することにより、比較的容易にロボット開発ができる「パゲット - 全て3Dプリントされた四足歩行ロボット」(右下)
(写真:未踏ジュニアホームページより)

21年度の応募数は123件。採択数は14件だったから、8.79倍の倍率であった。応募件数はこの4年ほど大きく変わっていないが、「クオリティーはめちゃくちゃ上がっている」と鵜飼氏は言う。

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