トヨタ、「踊り場」のはずが最高益更新 さらなる拡大のアクセルを踏み込む日も近い?

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14年度中にも燃料電池自動車をライバルに先駆けて発売する予定(梅谷秀司)

”ケチる”だけではない。トヨタはこの下期に部品メーカーに対する値下げ要求を見送った。半期に一度、仕入れ先と調達価格の改定交渉を行っているが、「私の知る限りでは値下げの見送りは初めて」(グループ会社トップ)という。

異例の措置には、トヨタとしてさらなる利益拡大がはっきりしたことで、その一部を取引先に”配分”し、サプライチェーン全体の強化を図る考えがある。もっとも、トヨタからの値下げ要求が途絶えたことで、部品メーカーにおける緊張感の緩みを憂慮する声が関係者の間から聞かれる。

独り勝ち批判を回避?

ただ、トヨタにとって値下げ見送りの影響額は数百億円程度。1円の円安で400億円の利益が押し上げられることを考えれば、痛みはほとんどないレベルだといえる。部品メーカーに余裕ができれば、円高に転じたときに値下げ要求に応じてもらえばよい――。今回の見送りにはそんな狙いも透けてみえる。

以前、トヨタ幹部は「社内では数字や1位にはこだわっていない」と話していた。だが、結果的にはさまざまな面でトップをモノにしてきたことも事実だ。日本企業として初の2兆円到達。円安のマイナス面も指摘される中、独り勝ち批判が起こるのは避けたいところなのかもしれない。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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