岩田社長が復活、任天堂の成長シナリオは? 3DSと健康関連で本格回復できるのか

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携帯型は次世代機投入でなく、3DS刷新での延命を選択した(右から岩田社長、武田玄洋専務、宮本茂専務)

復調の兆しが見え始めた任天堂だが、問題は来期から成長軌道に戻せるか。来期はWiiU向けの新作ゲームタイトルの発売が複数控えるが、大ブレイクするかを今から予測することは難しい。携帯型ゲーム機についても「本来なら、2016年頃に次世代機が発売されてもおかしくないが、3DSの刷新で延命を選んだ」(ゲームソフトメーカー幹部)。次世代機の発表を予測し、3DS向け新作ソフトの開発に慎重なソフトメーカーは少なくなかったが、任天堂は新型ゲーム機への世代交代でなく、現行機の延命を選んだ。大苦戦するWiiUに代わり、停滞気味だった3DSの刷新で流れを変えられるかであり、今年の年末商戦は正念場となる。

また今回の説明会で、もう1つの目玉となったのが、新規事業の概要である。16年度の収益化を目指し、「睡眠と疲労の見える化」を来年に事業化する。ベッドサイドに「QOLセンサー」を置くだけで、マイクロ波の非接触センサが睡眠中の体の動きや呼吸、心拍数などを自動計測するという。計測データはクラウドサーバーに送られ、分析・評価結果をもとに改善策をアドバイスし、個別サービスを行うビジネスモデルとなっている。この技術は米ResMed社と業務提携することで実現し、疲労状態推定技術については専門の研究者などと開発中という。

岩田社長自ら、「サービスイン前に任天堂がこれほど早い段階で説明することは珍しい」というタイミングで明らかにしたのは、パートナー企業を募るためにほかならない。ゲーム機同様にプラットフォームとして育てる狙いがあり、事前に概要を明らかにすることで、新規事業を早く育成する狙いがある。

 任天堂は今期の営業利益400億円の計画を掲げ(前期464億円の営業赤字)、4期ぶりの黒字化を目指している。しかし今年5月、岩田社長が「できるだけ早く任天堂らしい利益水準を取り戻したい」と発言したように、営業利益の400億円という数値は、回復途上の業績にすぎない。3DSのテコ入れや新規事業で、本格回復への道筋をつけることはできるか。就任12年目を迎えた岩田社長の背負う重責は増すばかりだ。

(撮影:梅谷秀司)

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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