三菱電機、最高益の主役はFAと自動車機器 営業利益率は日立や東芝を上回る稼ぎっぷり

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2008年3月期以来、7年ぶりに営業最高益を更新。今や日立や東芝を上回る利益率に(撮影:尾形文繁)

リーマンショック後、電機各社が赤字に陥ったときも着実に利益をあげてきた、重電”3番手”の三菱電機。今期は2008年3月期以来、7期ぶりに最高営業益を更新する見込みだ。

 三菱電機は10月30日、2015年3月期通期の連結業績予想を上方修正した。営業利益は前期比16.9%増の2750億円(従来予想2600億円)になる見通し。売上高は4兆2200億円と、従来予想通りに据え置いた。仮にこの営業利益を達成できると、リーマンショック前の2008年3月期に記録した、2640億円の過去最高営業益を更新することになる。

 最高営業益の牽引役は産業メカトロニクス部門だ。部門営業益は前期の980億円から、今期末は1240億円へと拡大する見込み。中国のスマートフォンメーカーが生産性改善のため高機能設備への投資を積極的に行っており、FA(ファクトリーオートメーション)システム事業の需要拡大が見込まれている。三菱電機の松山彰宏常務は「中国のスマホメーカーの設備投資は今後も続く」との見方を示した。同部門の自動車機器事業も、国内自動車メーカーの輸出が堅調なことから、下期以降の伸長が期待される。

営業利益率は日立や東芝以上

この上方修正で営業利益率は6.5%になる。売上高こそ日立製作所の半分以下と劣るものの、営業利益率は、日立の6.1%(2015年3月期見通し)や東芝の4.9%(同)と比べて、一歩上をいく。

三菱電機の場合、「霧ヶ峰」などのエアコン、テレビをはじめ、一般消費者向けの家庭電器部門も持つ。が、実は同部門の売上高の3分の2は、空調冷熱や、国内や新興国、欧州で今後も伸びが見込める業務用エアコンなどだ。その意味では、B to Bに傾斜しており、店頭での価格競争や消費再増税の反動減といった影響を受けにくい。他の各部門でも、日立の鉄道やビッグデータ、東芝の原子力発電所やNAND型フラッシュメモリといった派手さはない。しかし三菱電機は、パワー半導体やシーケンサーなど、工業製品や工場に必要不可欠な製品を押さえており、これらが着実に稼いでいる。

 あわせて発表した中間期(4~9月)決算では、売上高が前年同期比9%増の1兆9728億円(従来予想1兆9800億円)と予想をやや下回ったものの、営業利益は同52%増の1213億円(従来予想1000億円)と、重電システムを除く全5セグメントで増益を達成した。

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