隂山英男氏に聞く、「百ます計算」で同じシートを「使い回す」意図 「徹底反復」が子どもたちにもたらす効果とその方法
新学習指導要領がもたらした「危機」

教育クリエイター 隂山ラボhttps://kageyamahideo.com/代表
1958年兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒。兵庫県朝来町立(現・朝来市立)山口小学校教師時代から、反復学習や規則正しい生活習慣の定着で基礎学力の向上を目指す「隂山メソッド」を確立。百ます計算や漢字練習の反復学習を続け基礎学力の向上に取り組む一方、そろばん指導やICT機器の活用など新旧を問わず積極的に導入する教育法で全国各地の学力向上アドバイザーを務めている。2021年3月に「デジタル隂山メソッド ハイスピードラーニングシステム K-GYM」https://k-gym.com/app/ks_app/を開設(写真:隂山氏提供)
子どもが伸びるのはいいが、別に高速化しなくてもいいのではないか――。そんな疑問も出てくるが、隂山氏によれば、今こそ高速化する必要があるのだという。理由は、2020年度からスタートした新しい学習指導要領にある。
「先ほどの小学2年生の学習内容もそうですが、今後を見据えると、こうした高速の徹底反復学習はさらに重要となってくると考えています。私が危惧しているのは、英語教育です。2000年代の中学校3年間で習得する英単語数は900でしたが、20年からの新学習指導要領によれば、小学校で600~700、中学校は1600~1800を習得しなければなりません。一気に3倍近く増えるのに、そのための対策はおろか、こうした現実が学校現場で認識されていません」
強い危機感を抱いた隂山氏は、「隂山メソッド」を活用した学校向けのデジタル英語教材を開発。国語、算数、プログラミングも加えた「K-GYM」をスタートさせた(現在、学校や教育委員会のみに提供。22年3月まで無償試用期間)。
「学ぶ内容が急激に増え、難易度も高まっている今、子どもたちが苦手意識にとらわれないよう克服のプロセスを丁寧に用意することが不可欠です。高速で反復学習ができるデジタル教材の活用が重要になってくると考えています」
当然、百ます計算がそうであるように、ただ教材を用意するだけでは意味がない。子どもたちの可能性を信じ、一人ひとりをしっかり見守ることが重要だと隂山氏は強調する。コロナ禍に新学習指導要領への移行と、学校現場に多大な負担がかかっている今だからこそ、効率性の追求とともに、そうした基本姿勢の見直しも問うべきなのではないか。
(文:高橋秀和)
東洋経済education × ICT編集部
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