トヨタが東大で力説、「僕らを助けて下さい」 若者のクルマ離れに危機感を抱くメーカー

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トークセッションに参加した学生からは「チャレンジ精神に感銘を受けた」「仕事にかける熱意を感じた」という声も聞かれた。福市氏の思いは、ある程度伝わったようだ。一方で、「クルマに興味がなければ来ませんよ。ここに来た人は多少でもクルマ好きなんでしょう」と冷静に分析する学生もいた。

会場の外に展示されたレクサスの新型クーペ

実際、授業が終わった後、会場の外に展示されていたレクサスの新型クーペを食い入るように見つめていた2人の学生に声をかけると、自動車部の先輩・後輩という間柄で、所属学部はともに工学部だった。

「今、普通の学生の生活だとクルマに触れる機会はない。自動車部に入っていると言うと、”変な奴ら”だと思われますから」と自嘲気味。そして、「自動車メーカーはもっと努力して、若者も買えるようなコンパクトで楽しい車を作って欲しい」とも話してくれた。

”セレクトショップ”ができること

10年ぶりに復活発売するランドクルーザー。

トヨタとしてはハイブリッド車の「プリウス」や「アクア」などで、先進的な技術を備えた量産車ブランドを確立することに成功している。それに加えて、一昨年には、トヨタ「86」として十数年ぶりに新型スポーツカーを投入。今年は「70」シリーズの復活として、「ランクル70」を10年ぶりに日本で発売すると発表した。

父親が中古で買った94年モデルに乗ってすっかりファンになったという島田謙佑さん(20)は8月に行われた試乗会で、「若者のクルマ離れなんて言われているけど、このクルマがない人生は考えられない」と目を輝かせていた。

まったく新しいクルマが受けるのか、若者が知らないかつてのクルマが復活することで人気が再燃するのか。クルマ離れを阻止する絶対的な方策がないからこそ、自動車メーカーも試行錯誤を繰り返している。いずれにしても、今回の授業に足を運んだ学生には、トヨタの違った側面を見せるいい機会にはなったはずだ。

今回の授業に集まった学生は約320人。だが、会場の約6割が埋まった程度で、空席が目立ったのも事実だ。課題は、トヨタの授業に見向きもしなかった若者をどう振り向かせるか。世界展開する”セレクトショップ”を目指すトヨタには、価格設定やデザインなどやれることはまだまだありそうだ。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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