【産業天気図・重電】世界景気の2番底懸念漂う、円高も打撃。視界不良の「曇り」が続く
10年10月~11年3月 | 11年4月~9月 |
重電大手3社の景況感は、円高や世界景気の2番底懸念など不透明感を受け、2010年10月から1年通じて「曇り」となる見通し。
日立製作所、東芝、三菱電機とも4~6月期(第1四半期)は想定以上に好業績だった。日立は上期業績予想のみを上方修正(営業利益で450億円増額)、三菱は上期予想を上方修正(営業利益で200億円)、通期予想も同額上方修正(下期予想は据え置き)している。東芝は予想を修正していない。
09年に各業界が凍結していた設備投資が、10年に動き出していることが背景にある。三菱はFA関連が復調、日立が子会社で手掛ける半導体製造装置など活況を呈している。半導体市況そのものも需給はタイトでNANDフラッシュメモリの価格は高止まっており、東芝の業績に追い風になっている。
業績の先行きに暗雲が漂っているのは事実だが、実際に事業面でのマイナスは円高とテレビ関連の失速があるで、少なくとも8月中はそれほど現れていない。4~9月期(上期)は各社の予想よりも上振れ、前年同期比で大幅増益は間違いない。
しかし、10月以降もこのままの状況が続くことも考えにくく、上期に比べて事業環境が悪化するのは避けられない。問題はその落ち込みがいつ顕在化し、落ち込み幅がどの程度にとどまるか、だ。
現状では穏やかな減速にとどまる前提で、上期の上振れ分の貯金を生かし、通期でも増益予想を維持している。単純な上下の利益比較では下期増益予想だが、もともと10月~11年3月(下期)に利益が偏重する事業構造を考えると下期減速だ。ただ、後半の「曇り」は「谷の深さが見通せない」という意味合い。展開次第では、もう一段の悪化もありうる。
(山田 雄大=東洋経済オンライン)
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