家づくりで「後悔する人」「しない人」3つの差 窓は増やせば増やすほど暮らしづらくなる理由
「窓」は建物の構造的な弱点でもある
最後は「窓」について考えていきたいと思います。
「自然の光がよく入る明るい家」に憧れる人は多く、設計においても「窓を多くしたい」という要望をよく受けます。このご夫婦の家でも、南側を中心に窓はいくつも設けられており、光がたくさん入る設計となっています。
ただ、窓というのは「建物の弱点」であり、数を設けるほどデメリットが浮かび上がってきます。
窓を設置するのは、「その分、壁をなくす」ということに他なりません。その結果、まず断熱性能が低下します。いくら性能のいい窓でも、壁には断熱性が劣り、どうしても「窓辺が寒い、暑い」という状態になります。その他に、耐震性やメンテナンス性、コストといった点でも、壁に分があります。
ここで窓の本来の役割を考えてみると「自然の光を取り入れる」「景色を眺める」「出入りする」「通風をうながす」の4つになるかと思います。そこに窓が必要かどうか迷ったときは、この4つの役割を思い出せば、窓の取捨選択がしやすくなるはずです。窓は、必要最小限の数を、適切な場所に計画すべき、というのが私の基本的な考え方です。
このご夫婦の家でいうと、寝室にある窓は、冬に寒くなりやすく、しかも隣の家の外壁が迫っているため一度も開けていないとのことでした。こうした「開かずの窓」は、計画段階で可能な限り減らさねばなりません。
また、南側の大きな窓は「自然の光を取り入れる」という目的を叶えるもので、とてもいい位置に配置されていますが、ひとつだけ残念なのは、庇(ひさし)がないことです。
吹き抜けの2階部分にも窓がありますが、やはり庇がありません。冬には光がよく入ることで暖房効果を得られますが、その分夏にはかなり室内の温度が上がりやすく、それが光熱費に跳ね返ってきます。もし庇さえついていたなら、夏の冷房負荷をだいぶ抑えられるはずです(後付けできる製品もあります)。
このように、「和室」「バルコニー」「窓」の3つは、家づくりで後悔しやすい代表的なポイントです。間取りを決める際には、ぜひ慎重に検討してほしいと思います。
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